2021年5月20日 コロナ後の時代に求められる人生樹の思想 小野晋也先生
テーマ コロナ後の時代に求められる人生樹の思想
◆日時 2021年5月20日 木曜日 オンライン講義
◆講師 小野晋也先生
◆内容
小野晋也先生のご講演の内容と、川人個人の感想も含めたまとめ方をしています。
コロナによって社会は大きく変わりつつある。人類文明にとって大きな転換期となるだろう。大きな時代の変革期とは、今まで常識であったことが非常識になったり、正しかったことが逆の悪になったり、そのまた逆もしかり。大きな時代の変革期であることは間違いない。
ですから、過去の常識や価値観をそのまま引き継ぐだけで済むという簡単なものではないだろう。古き良きものを継承しながらも、新しい時代の風を読んで新しい時代の価値観を受け入れ、進化と変化を繰り返す時代となるのではないか。
大きな樹木には目には見えない根っこの部分がある。枝葉などの目に見えている部分と、目には見えないが、見えている部分よりも大きく根を張っているから倒れることはない。この根の存在が人生樹の思想のように思える。見えない地面の中に張り巡らされた根っこは、生き抜くためのエネルギーを吸い上げている。世間(見えている枝葉の部分)はどう変化しようとも、見えない根っこの部分は大地の恵みをエネルギーに変え続けているのであろう。
根っこは一体どうなっているのか。見えないからこそ想像が膨らむ。見えないものを、それぞれがそれぞれに自由に想像し、新しい時代の大きな変化に適応していく他ない。
変化を作り出して成長発展していくために必要なもの。それは「意志」ではないだろうか。意志とは、心の底から湧き上が想い。すなわち、こうしたい、ああしたいという想いのことである。
松下幸之助さんが言われた言葉に、「好況良し、不況良し、大不況はさらに良し」というのがある。不況があるから人間は悩み考える。困難にぶつかるから進化発展する。不況になってあきらめたらつぶれるほかない。不況でも、なんとかしたいという夢(意志)を持てばなんとかなるのだと思う。
未来への夢(意志)さえあれば、それが未来への希望となり、人間は進化と成長を遂げることができる。
もう一つ、意志の前に「目的」 が必要だ。なぜ、何のためにこれをやりたいのか。という、意味と目的が必要だ。やるべき目的が明確であればあるほど、強い意志が生まれ、強い意志さえあれば、困難も不況も乗り越えていける。新しい時代がどのように変わろうとも、人間はこうしたい、ああしたいという夢と強い意志。さらにはその目的が明確であれば、それを糧にして生き抜くことができるということ。
王陽明は、ある時期に学び続けてきた朱子学に対して疑問を感じ始めた。学ぶだけでは、論語読みの論語知らずになってしまう。論語は素晴らしい学問ではあるが、学ぶだけでは机上の空論になってしまう。学んだことを仕事や社会において実践できないと価値がないと考えた。
これが陽明学の始まりである。何事も行動が伴わないと価値はない。
「知行合一」知っていても行動が伴わなければ知らないのと同じということ。知ることと行動は常に一致していないと価値がないということ。人は体験して行動して初めて知ることができる。
コロナ後の人生はどうなるかではなく、それぞれがどうしたいのか、何がしたいのかという、心の底から湧き上がる意志をもつこと。そして、その目的はなんであるのか。その目的の意味と価値を自覚する。
自分自身が心の奥底からやりたいこと、そのやりたいことをやり続ける。自分を信じて、信じて信じ抜く。「これでいいんだ」、「誰が何と言おうと、これが俺のやりたかったことなんだ」、「これが俺の人生をかけてやるべきことなんだ」と、自分を信じ抜いて生きる。
自分を信じて実践人として生き抜く、これがコロナ後の新しい時代を生きる人生樹ではないだろうか。
何事も真実というのは外にあるのではない。自分の内にあるものだ。内とは、自分の心の持ち方のこと。
「心すなわち理である」 自分の内面にこそ真理があるのだ。
だから自分の心を鍛え抜く。そして、心の底から湧き上がる真理を求めて実践し続ける。
新しい時代の人生樹を磨くために・・・。
以上