人間の森文明 東西融合の実現 著者 小野晋也先生
感動した本の紹介
書籍名 日本人の使命 「人間の森文明 東西融合の実現」
著者 小野晋也先生
◆内容
これは決して夢物語ではない。私は具体的な構想として「人間の森文明」を提唱したいのである。
必ず近い将来、この日本ならではの発想である、東西の融合文明が実現すると確信している。個々がそれぞれの使命をまっとうしながら、全体が絶妙な調和を保っている人間の森が、すぐそばまで近づいている。
これは元衆議院議員で文部科学副大臣を歴任された小野晋也先生の言葉です。先生が混迷する今の時代の次に来るであろう二十一世紀の新しい文明理論として、「人間の森文明」を提唱された。
では一体、「人間の森文明」とはどのようなものか?
まず、自然の森に一歩踏み込んでみましょう。そこにはさまざまな生物が生息しています。高い木もあれば低い木もある。様々な草も生えていれば、土の中には何十万という菌も存在しており、さまざまな動物や昆虫なども生きています。
そして、それぞれの存在がそれぞれの役割を全うしつつ、全体が絶妙な調和を保っています。自然は自然のままで調和されていることが分かります。不調和を作り出しているのは人間だけだとあらためて気づくのです。
この自然界の調和ある成長のあり方を、不調和で満ちた人間社会にも導入できないかと考え、そこから生み出されたのが「人間の森文明」です。
具体的に以下の六項目でご説明したいと思います。
㈠ 自分の意志で生きていける社会
自らが胸に抱く自分の志を持って、周りに振り回されることなく自分の意志で生きていける社会を目指します。
㈡ 共に成長する社会
助け合い、励まし合い、共に成長し続ける社会を目指します。
㈢ 個性を認め合う社会
その個性を活かし、認め合う社会を目指します。
㈣ 全体として大きな調和を尊重する社会
お互いの個性を尊重しながらも、全体としては調和のとれた社会を目指します。
㈤ 自立している社会
上から指示され管理されることによる統制ではなく、自立的コントロールによって運営される社会を目指します。
㈥ 譲り合いの精神を持った謙虚な社会
お互いが相手のことを尊敬し譲り合いの精神で付き合える社会を目指します。
人間の最高の徳とは何か、それは謙虚であることです。自己を人のために捧げ合う社会。これが平和な社会への基礎をつくると考えています。論語も易経も、難しく学ぶ必要はありません。単純に読んでみると、その根底に流れている思想がみえてきます。一言でいうと「人間は謙虚であれ」と言っているのす。お互いが愛情や人情をもって相手に接すれば、良い人間関係が生まれて争いはなくなります。
これからの時代はお互いが尊敬し合う互敬主義社会。すなわち人に敬意を持って謙虚に、人に愛情と思いやりを持って接する。家庭でも、会社でも、国と国でも同じです。お互いが個性を認め合い、許し合い、支え合い、敬し合い、そんな謙虚な譲り合いの精神を持った社会こそが人間の森文明の目指す未来です。